高校卒業後の進路は大きく分けて就職と進学の2通りですが、多くの方は進学をします。文科省の発表によると、2018年3月卒業者のうち、進学する人は実に76.7%でした。高校の学科別で見ると、工業科や水産科など、専門的な学びを修めた科であれば就職する人が大半ですが、全体的な傾向としては「高校卒業後は進学する」のが一般的と言えるでしょう。
進学先の種類
進学先は大学、短期大学、専門学校のいずれかが選ばれることがほとんどです。それぞれにはそれぞれのメリットがあります。多くの場合、「学問を専門的に修めたい」という場合は大学へ進学し、「専門技術を習得したい」という場合は専門学校が選ばれます。短期大学は大学と専門学校のちょうど中間といったところで、専門技術を習得しつつ、教養や専門の知識を学びます。
進学を考えている学生の中には、アパレル業界やゲーム業界など、「表現」に関係する業界に就職したいと考えている人もいるでしょう。その場合は、専門学校への就職をおすすめします。その業界で役に立つスキルを習得し、即戦力となれるだけではなく、業界へのつながりを持っていることが多いため、就職の際にも有利に働く場合があります。
しかし、だからといって、専門学校であればどこでも良い・変わらないというわけではありません。特に表現に関係する、クリエイティブな業界への就職を考えるのであれば、自分が学びたいことを学べるか、ということのほかにも、重視したいポイントがあります。
「表現」とは何か?
まず、「表現」について正しい認識をする必要があります。
・評価される「表現」とは
ファッションにせよ、絵画にせよ、文学にせよ、あるいは映像・音楽などにせよ、あらゆる「表現」によって人の心を動かすために必要なものとは、表現媒体そのものの技術で決定づけられるわけではありません。たとえば、ある映画の評価を決定づけるのは、その映画の映像そのものが4Kカメラで撮影されているなどの技術的な綺麗さではありません。ストーリーやBGM、出演する役者の演技など、映画を構成するすべてが評価の対象となります。
・表現技法は勉強しやすい
表現する作品において高い評価を得るためには、自分が表現したいと思っている媒体すべてに関わるものを勉強しなければなりません。特に勉強しやすいのは、表現技法です。ファッションなら色の組み合わせ、映像であればカメラワーク、音楽であれば楽曲のコード進行、絵画であれば筆遣いや画材の使い方など、表現技法を学ぶ機会は多くあります。中には、独学で非常に高いレベルの表現技法を身に着ける人もいるでしょう。
・内容の勉強は難しい
しかしながら、肝心の「内容」の作り方を学ぶことは容易ではありません。時には、「表したい」「作りたい」という気持ちが前面に出てしまい、観る人や聴く人などの「受け取り手」に伝わりにくい作品となってしまうこともあります。独創的であることにこだわるあまり、突然作品作りを始めてしまった場合によくある失敗例です。
先に述べたように、表現されたものは、表現技法だけでなく、内容も含めたすべてで評価がなされます。表現技法が優れている、内容が優れている、という片方のみでは、人を引き付けること難しいでしょう。内容を引き立てるのは表現技法であり、一見何でもない内容でも、巧みな表現方法を用いれば、魅力的に見えるもの。では、表現技法、内容それぞれをブラッシュアップするには、どうしたらよろしいでしょうか。その方法が、「吸収」です。
「表現」には「吸収」が必要不可欠
表現者・クリエイターになって世の中の人にあっと驚くものを届けたい!と意気込む人に多いパターンが、表現技法の習熟のみに腐心し、肝心の内容がおろそかになってしまうことです。また、「誰も見たことがないもの」であっても、細かく要素を分解すると既存のアイデアやモチーフの組み合わせである場合がほとんどです。表現で人の心を動かしたい、と考えているのであれば、まず、既存のアイデアやモチーフなどをなるべく多く吸収することが重要です。
「既存のものだけではどこかで見たような、安っぽいものになってしまうのではないか。ありきたりになってしまいそうだ」と考える必要はありません。たとえ使い古された既存のアイデアやモチーフであっても、組み合わせ次第では「新しい」と感じさせることが可能です。そもそも、その「ありきたり」「王道」を判断するためにも、できるだけ多くの作品や表現に触れることが重要です。
様々なものを吸収できる専門学校を選ぶ
専門学校での学びをより良いものにするためにも、進学予定の専門学校が学びたいこと「だけ」に特化していないか確認しましょう。
新宿コクーンタワーやキャッチーなテレビCMでおなじみのモード学園は、表現者になりたい方には特におすすめの専門学校です。こちらは服飾系の専門学校であるというイメージが強いですが、年に1度の卒業制作・発表展では、服飾・ファッション関係だけではなく、系列のHALやIKO(首都医校)やISEN(医専)と共同で行われます。1つのテーマを、服飾・ファッション、ゲームをはじめとしたIT、医療の様々な分野からとらえ、表現しており、常識に囚われない柔軟な発想を必要とする表現者たちにとってはこれ以上ないほど刺激を受けることでしょう。
表現者となり、評価されるには、たくさん吸収し、それらを上手く組み合わせることが大切です。自分から率先して吸収することももちろん大切ですが、自然と吸収できる環境に身を置き、日常生活からたくさんのものを吸収すると、より効率が良くなります。収集しやすい環境の一つが、専門学校というわけです。表現者として、大きく飛躍するためにも、学生のうちからたくさん吸収して、たくさんアウトプットしてくださいね。
更新日:2023/01/13